商品名
正倉院御物「白瑠璃碗」
透明で淡い褐色味のついた高さ8.5cm、最大径12cmの半円径のアルカリ石灰ガラス製の碗。美しい切子装飾が亀甲繋ぎの文様として全体に施されている。その特徴からササン朝ペルシャ(226~651)で作られたものと同じと見られるが、その起源や正倉院に入庫した経緯には謎が多い。出品の品は正倉院御物「白瑠璃碗」の写し。高台に「東大 寛」と銘あり。箱書 表「瑠璃碗」、裏「東大別当 寛秀 印」。
栞には、
「瑠璃碗 正倉院には天平勝宝四年(七五二)四月九日の大佛開眼に用いられた荘厳佛具、佛器、什器をはじめ聖武天皇・光明皇后ご遺愛の品々がぎっしりと収められています。正倉院はまたシルクロードの終着駅の宝庫ともいわれ、世界的な文化遺産として大事に保護、保存されています。宝庫には遥かペルシャから伝来の数々のガラス製品が見られます。千宗室鵬雲斎宗匠のご奉仕になる大佛殿供茶式、華厳茶会も第九回と相成りました。その記念として伝世の名品 「白瑠璃碗」 を写させて戴きました。このガラス碗と同じ様な作品はイラン高原西北部のカスピ海南岸をはじめメソポタミア、シリア、東地中海沿岸の各地から発見されています。おそらくその生産地はカスピ海周辺ではなかろうかといわれています。東京国立博物館所蔵の「伝・安閑天皇陵出土のガラス碗」は、正倉院のこの碗とあまりにも類似していることで有名です。碗の外側には円形の切子十八箇で上下、左右に連なっています。底部は中央の円形切子を中心に周囲を七つの円形を配し、八曜形にまとめられています。円形切子がそれぞれ凹レンズの働きをします。向こう側の切子の文様が映り合って網目状に透視されます。こうした亀甲繋ぎの文様と映りは、あたかも東大寺の華厳経が説いています重々無尽の因縁、関係(因陀羅網)を物語っているようです。一つの小宇宙は佛を中心に諸尊がそれを取り囲み、その周辺は色とりどりの華によって荘厳されています。そんな小宇宙が縦に、横につながり無限に広がり、大世界、大宇宙を織り成しています。それが佛の世界、清浄の世界、理想の世界「華厳界」というものだとされています。碗底部の「東大寺」箱書きの「瑠璃碗」は、今度、華厳宗 管長 東大寺住職、第二百十二世別当にご就任されました筒井寛秀猊下の御染筆になるものです。瑠璃碗の復元に当たりましては保谷ガラスのお力添えを戴きました。ご愛蔵の程 合掌(松記) なお、本歌のふんいきをできるだけ伝えるため耐熱処理などはしていません。したがいまして湯温は五〇度以下でお使い下さい。熱湯は避けてください。」
と記されています。
筒井寛秀
大正10年(1921)~平成22年(2010)、奈良生まれ。大正大学文学部史学科卒業。その後、東大寺塔頭清涼院住職、東大寺塔頭龍松院住職、華厳宗教学部長、東大寺教学執事、華厳宗宗務長、東大寺執事長、華厳宗管長、第212世東大寺別当を経て、東大寺長老。祖父 寛聖は第194世、文 英俊は第202世の別当を勤める。平成22年(2010)没。88才。
商品サイズ |
ガラス茶碗
直径(cm)約12.0 、高さ(cm)約8.5 |
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備考 | この商品はオークションにて既に取り引きが終了している商品です。 |
カテゴリ | オークション落札済み 、 その他 、 取扱美術品 |