和墨について
墨のなかでも日本製の墨を「和墨(わぼく)」という。唐墨と比較して墨の寿命が短いといわれる。飛鳥時代に高麗の僧侶曇徴によって日本に墨の製法が伝来されて以来、奈良をはじめ、丹波、播磨、太宰府、紀州などで製墨が行われてきた。現在、和墨は奈良と鈴鹿が二大産地である。
和墨の製法
和墨の原材料は、煤(すす)、膠(にかわ)および香料である。これらを配合し、手足を用いて均一に練り合わせて、ゆっくりと乾燥させて固めることでつくられる。和墨の配合比率(煤と膠)および膠の種類・粘度は、以下の通りである。
種類 | 配合比率(煤:膠) | 膠の粘度 |
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和墨 | 10:6 | 高 |
和墨の特徴
特徴 | 説明 |
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色 | 黒々とし素朴な色で品位と深みがある。淡墨では透明感が高い。 |
強度 | 強く割れにくい。 |
色の力強さ | 新墨から力強さと厚みがある。 |
伸び | 唐墨と比べると悪いものが多い。 |
滲み(にじみ) | にじみは悪い。紙に浸透しにくいため、紙自体を乾燥させる必要がある。 |
寿命 | 寿命は短く、品質が低い墨で約10年、高い墨で約50年とされている。寿命がくると炭素凝集が起こり、膠の分解が激しくなり、墨色に濁りがでてくる。 |
和墨の大きさ
和墨の大きさ(サイズ)は、墨の重さ で表します。その単位は「丁」である。
サイズ | 説明 | 重さ |
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1丁 | 重さ約15gのものを1丁とされる。 | 約15g |
2丁 | 1丁の2倍のもの。 | 約30g |
4丁 | 1丁の4倍のもの。 | 約160g |
5丁 | 1丁の5倍のもの。 | 約75g |
8丁 | 1丁の8倍のもの。 | 約120g |
10丁 | 1丁の10倍のもの。 | 約150g |