厳選された美術品を世界遺産「石見銀山」がある
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唐硯について

硯の聖地「端渓」と北嶺

硯の聖地「端渓」と北嶺

数多ある唐硯(中国の硯)のなかで最も有名、かつ最も優れているといわれているのが端渓硯である。その材料となる端渓石の採掘坑(硯坑)は、広東省西部の都市「肇慶(ちょうけい)」にある。肇慶市の東に位置する爛柯山(斧柯山)から西江(羚羊峡)にそそぐ渓流が俗に端渓と呼ばれ、その渓流を中心とした一帯から産出される。また、爛柯山(斧柯山)から20キロ離れた場所に北嶺(ペーリン)山脈があり、端渓石とは趣が異なる美しい材料が採掘される。広東省の旧地名が端州であったことから、端渓および北嶺(ペーリン)山脈で採掘された材料にて製作された硯を、総称して端硯と呼ぶ。

爛柯山(斧柯山)

標高904メートルの爛柯山から西江(羚羊峡)にそそぐ幅約3メートルの渓流「端渓」に沿って、多数の硯坑がある。マイナス1合目の老坑(水巌)から8合目の麻子坑まで、全体が端渓石の塊かと思われる名石を埋蔵している。

老坑(水巌)

老坑(水巌)は、爛柯山(斧柯山)の最も低いマイナス1合目に位置する。老坑の発見・開坑は明代の末にあたる約300年前である。坑道は一年中水に浸かっているため、西江の水位が下がる冬から春までの期間にポンプで水を汲み出して採石が行われる。老坑のなかでも坑道最深部の大西洞の硯材は、最高級のものであり古くから珍重されてきた。天青色を帯びた青紫で魚脳凍、魚脳砕凍、蕉葉白のほか、鵞毛氄青花、玫塊紫青花など各種の青花が見られ、石質細潤であるのが特徴である。現在、この部分の硯材は尽き、その周辺など坑道のやや上部から硯材が採られている。

坑仔巌

坑仔巌は、爛柯山(斧柯山)の2合目に位置し、老坑の南上の山腹に坑道がある。宋代の治平年間に開坑された硯坑である。坑仔巌の硯材は紅紫色を基調とし、きめが細かい。蕉葉白、魚脳凍、青花などの石紋を持ち、鶏眼、珊瑚鳥眼、象牙眼といった美しい石眼が多いことが特徴である。虫蛀や石皮(黄ひょう)がよく見られるのも特徴である。また、坑仔巌の旧坑は硯材が尽きてしまったため、約30メートルほど上の地点に新坑が開かれている。新坑の硯材は旧坑のものに比べ、赤や褐色が強く石質が粗いものが多い。

古塔巌

古塔巌とは、清代に開かれた硯坑である。朝天巌と比較し、火捺や蕉葉白がなく鸜鵒眼が多いことが特徴である。

宣徳巌

宣徳巌とは、明代の宣徳年間に開かれた硯坑である。山坑のなかでも特に上品で良質な石質であるとされている。

冠羅蕉

冠羅蕉は、爛柯山(斧柯山)の4合目に位置する。朝天巌の旧坑と隣り合わせに並んでいる。古くからあまり採掘されていなかったが、1978年に本格的に採掘がはじまった。採掘される硯材の石質がバナナの葉のように幼嫩細潤だったため、「冠羅蕉」と名付けられた。冠羅蕉の硯材の石色は紅紫を帯びた灰蒼色で蕉葉白、杉目紋、臙脂暈などの石紋を持つ。稀に金線や馬尾紋が出る硯材があるが、石眼は見られないのが特徴である。

麻子坑

麻子坑は、爛柯山(斧柯山)の8合目に位置する。老坑から端渓に沿っておよそ4キロメートルほどいった地点の山頂の真下に坑道がある。清の乾隆年間に発見された硯坑である。麻子坑には、水岩坑と旱岩坑の2坑があり、その坑口は数メートルしか離れていない。麻子坑の硯材は、魚脳凍、蕉葉白、天青といった美しい石紋が見られる。また、大きな石眼が見られるのが特徴である。

朝天巌

朝天巌は、麻子坑の直下、爛柯山(斧柯山)の中腹にある。清代の康熙年間に採掘が開始された硯坑である。坑口が東に大きく開いているため、「朝天巌」と名付けられた。旧坑は、鉄線紋という堅い縞状紋が出て硯材に適さなくなったため、30メートルほど南側に新坑が開かれた。朝天巌は、冠羅蕉の最下層にあたる硯材であり、玳瑁斑と呼ばれる青黒の班紋が見られるのが特徴である。紫石と緑石の2種類の硯材が端渓では珍しく露天掘りで採掘されていたが、硯材が尽きてしまったため、現在は採掘を中断している。

北嶺山脈

北嶺山脈は、肇慶市の北側に位置する数十キロに及ぶ山岳地帯であり、端石の宝庫である。宋の時代から多くの優材を輩出してきた宋坑や緑端の硯坑である緑石坑などの採掘坑がある。

宋坑

宋坑は、宋の時代に発見され採掘が始まった硯坑である。宋坑は一つの坑道の名称ではなく、肇慶市北部にそびえる北嶺山中50平方キロメートルに点在する陳坑、伍坑、将軍坑、盤古坑、蕉園坑などの総称である。宋の時代の太史硯に見られる石眼のある灰蒼色をした蕉園坑の硯材を除き、ほぼ赤紫色を呈し丸形をした火捺や金星点がみられる。石質は堅実で下墨が早いのが特徴である。

梅花坑

梅花点と呼ばれる石眼が多くみられることから「梅花坑」と名付けられた。宋の時代には沙浦の典水村付近から採掘されていたが、その後、北嶺の九龍坑から採掘されるようになった。沙浦の梅花坑は灰蒼色を呈し、石眼に瞳があるのに対し北嶺の九龍坑のものは灰黄色を呈し、石眼に瞳がない。

緑石坑

北嶺の緑石坑は、北宋の時代から採掘されている。古くから緑端の硯材として用いられてきた。青緑でやや黄色を帯びている。なかでも透明感のある硯材は上質できめが細かく石に潤いがある。硯材が尽きてしまったため、現在は朝天巌や沙浦のものが緑端として製硯されている。

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